記録を続けると、“自分のクセ”が見えてくる
「いつ・どんなときにやりたくなるか」
これは依存行動の衝動が生まれるタイミングのことで
これらを記録し整理することであなた自身の
「やってしまうパターン(=スイッチ)」が見えてくるはずです。
そしてこのスイッチを知ることがギャンブルから抜け出すために重要な行動になります。
この記事では、ギャンブルに行きたくなる「依存行動のスイッチは何か?」について解説しています。
- 依存の行動スイッチとはなにか
- なぜ“記録”が効果的なのか
- スイッチに対してどうするべきなのか
STEP確認
この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP3-3」です。
単独でも読める記事になっていますが全体の流れを確認したい方は下記リンクへ進みください。
シリーズ全体の流れを確認したい方はこちら。
【結論】スイッチを“押さなく”する
ギャンブル依存症になるとトリガーやスイッチと呼ばれるきっかけでギャンブルがやりたくなります。
たとえば
- 仕事帰りに疲れて、とりあえず行くかとホールに入る
- → 疲れ【トリガー】+帰宅ルート【トリガー】=【スイッチON】
- 何かにイライラしたあと、無性にパチンコで発散したくなる
- → ストレス【トリガー】+時間に余裕がある【トリガー】=【スイッチON】
流れとしては下記になります。
トリガー(1個以上) → スイッチON → 脳が自動で快感を欲求 → ギャンブル衝動!!
そしてこのギャンブル衝動=ドーパミンが分泌している状態ということです。
このスイッチを消すことは難しいため、スイッチを押さないことが大切になってきます。
【理由①】トリガーとは“単体の刺激”

トリガーとは“単体の刺激”です。でもそれだけでは動きません。
たとえば
- 帰り道にホールを見かけた(環境)
- 少しイライラしていた(感情)
- 財布に現金があった(条件)
これらが、1つ1つ独立していたら、ギャンブルに行かない日もあるでしょう。
ですがこれらが「同時に起きたとき」だけ、なぜか足がホールに向かってしまう。
それがあなたの「スイッチ」です。
【理由②】トリガーが“組み合わさる”とスイッチになる
トリガーが“組み合わさる”とスイッチになります。
単体のトリガー | 単体では動かないことも |
---|---|
退屈だった | でも用事があれば行かなかった |
ATMでお金を下ろした | でも他の予定があれば我慢できた |
ホールを通りかかった | でも気分が良ければスルーできた |
これが組み合わさると…
組み合わさった状態 | スイッチが入る瞬間 |
---|---|
退屈+ATM+ホール前を通過 | → なぜか吸い込まれるように入っていた |

単体では問題の出ない部品も、“ある条件が重なったときだけエラーを起こす”ってのは、現場ではよくあります。
だから「この組み合わせが危険」ってパターンを記録して、“再発防止”の設計に活かします。



人間の脳も同じ。スイッチは、複数のトリガーが連動しているからおこるんだな!
【理由③】脳の「自動化」
私たちの脳は日常の中のちょっとした“きっかけ”でその記憶が呼び出されます。そして最初は意識的だった行動がだんだん無意識的なものになり習慣となります。
そして脳はその行動をいちいち考えなくても(無意識的に)実行できるよう、どんどん「自動化」していきます。
トリガーをきっかけに「自動運転モード」のスイッチが入り、ギャンブル衝動が生まれ、ギャンブルをやめるのがどんどん難しくなります。
詳しい記事は下記をご覧ください
【理由④】脳のスイッチはすぐには消せない
この自動化されたスイッチである脳の回路は、脳にとって重要と判断されているからこそ素早く反応して動ける太く強固な道として強化されています。
それを消しさるには使わないでおいておく、弱くなるように徐々に道を整備するといった時間をかける必要があります。
ですのでそれをやるためにもまずは手っ取り早くスイッチを入れないようにすることが効果的となります。
【対策案】「スイッチ」が分かれば行動を変えられる


「スイッチ」が分かれば行動を変えられる、そのために「記録」や「トリガー」を知ることが必要になってきます。
詳しい記事は下記をご覧ください
見える化
自分の記録やトリガーを見返してみてください。
きっとこんな傾向が見えてきます
- 「この曜日・この時間帯が危ない」
- 「この感情+この場所のセットで毎回やられている」
- 「お金をおろしたあとが一番やばい」
この“行動スイッチ”を知るだけで、次からは気づけるようになります。
「あ、またこの状況だ。今やばいな」
この“気づき”があるだけで、行動の選択肢が生まれるようになります。
【結論】スイッチは“無くせない”が「入りにくく」することはできる
ここで大切なのは、スイッチ(=依存行動の起動条件)を完全に消すことはできないという点です。
なぜなら、これまでに繰り返してきた行動は、すでに脳の回路として“強化”されているからです。
何度も使った道が舗装されて歩きやすくなるように、脳も「楽しかった」「気がまぎれた」といった経験と行動を結びつけて、そのルートを強化してしまっています。
たとえば
- イライラしたとき → ギャンブルでスッキリした
- 暇だったとき → ギャンブルで刺激を得た
このような体験が何度も繰り返されることで、脳は「感情」や「状況」に反応して、自動的にギャンブルに向かうようになってしまうのです。これは“意思”ではなく“反射”に近いもの。
つまり「もうこのスイッチを無くしたい」と思っても、一度できた回路はある程度残り続けます。
でも安心してください。「触れにくくする」ことは可能です。
- 配線は無くせなくても、「通電しにくく」することはできる
- トリガーが重なる場面を減らせば、スイッチが入りにくくなる
- 代わりに別の「快感回路」を作っていけば、徐々に古い配線は使われなくなる



保全の現場でも、誤作動が起きる配線を「絶縁」したり、「別のルート」に切り替えることで再発を防ぎます。
人の行動も、それと同じように見直していけるんです。
【実施】スイッチを“押さなく”するには?


スイッチがどこにあるのかが分かったら、あとはそのスイッチが入りにくい環境にしていくことが次のステップになります(STEP3以降で詳しく紹介)。
たとえば
- 帰り道を変える
- ATMに行く時間をズラす
- スマホの通知をオフにする
- 給料日は予定を入れておく
こうした「スイッチに触れない工夫」が、行動変化につながっていきます。



スイッチはもう設置済み──ならば“触らせない”ことが大切。
設備でも、異常を起こすスイッチにはまずは「カバー」をつけたり「近づけない工夫」をします。



そのあとにスイッチを押してしまっても“重大故障”にならないようにダメージを減らす対策をしていくわけだね!
まとめ:トリガーを組み合わせると“あなたのスイッチ”になる
- スイッチ(依存行動の起動条件)は、「感情・状況・環境」の組み合わせで作動する
- スイッチを完全に消すことはできない
- 繰り返された行動が脳の回路として記憶されているため
- でも、スイッチが「入りにくい状態」は作れる
- トリガーの組み合わせに気づき、環境や習慣を調整することで回避が可能
- 記録を続けることで、自分だけの“危険な組み合わせ”が見えてくる
次回
次は「やめるメリットを知ることでモチベーションになる」について解説します。
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このサイトが大切にしていること
「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
でも今は、そう感じていたのは“思考の回路”が乱れていただけだったんだと気づきました。
このサイト「ゆるやめ」では機械保全士として培った現実重視の“視点”をベースに、脳科学や心理学の知識そして私自身の体験を交えて、我慢ではなく緩やかな仕組みでやめるヒントをお届けしています。
参考・出典
- 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html