みなさんこんにちは。
みなさんは
「パチンコやスロットをやめたいのに、ついまた行ってしまう」
そんな経験がおありですか?
実はその理由は、依存している人と依存症の傾向が強い人とである違いがあり、みなさんはもしかしたら依存症の傾向が強くなっているからかもしれません。
- なぜやめたいのにやめられないのか?
- その理由として依存と依存症では具体的にどのように違うのか?
- 最後に今後どうすればよいのか?
脳の仕組みや行動とあわせて、分かりやすく解説していきますのでぜひご覧ください。
【関連動画】
【理由①】「依存」と「依存症」はちがうの?

次は、多くの人がなんとなく混同しがちな、「依存」と「依存症」の違いについてお話しします。
この2つ、言葉は似ていますが、実は根本的に意味が違うんです。
「依存」ってどんな状態?
まず、「依存」というのは──
その対象を頼りに生活している状態のことをいいます。
たとえば、毎日スマホを触ってるとか、寝る前に必ず甘い物を食べるとか。
これもある意味、依存です。
でも、依存の段階では、「やめよう」と思えば自分の意思でやめられる。
ここが「依存症」との一番大きな違いです。
軽い依存なら、こんな対策で変われる!
軽度の依存であれば、以下のようなちょっとした工夫で抜け出せる可能性が高いです。
- ハードルを上げる(たとえばスマホの制限をかける)
- 物理的に依存対象から離れる
- 運動など、別の行動を習慣にする
- 家族や友人に協力してもらう
要するに、「やらなくても何とかなる」なら、まだ依存症ではないということですね。
では「ギャンブル依存症」って何?
では、ギャンブル依存症はどうかというと
これは、ドーパミンによる快楽を“異常に”求めるようになった状態です。
長期間にわたる繰り返しの学習で、脳が
「これがないと不快すぎる」「これでしか快感を得られない」
と感じるようになっていく。
つまり、みなさんがやめたくても脳がやめたいと思っていない。
これが「依存症」の状態なんです。
ドーパミンってなに?
ドーパミンは脳の神経伝達物質の一つで、「快感」、「意欲」、「運動調節」といった様々な機能と関係する脳内ホルモンです。
簡単にいうと「やる気」や「快感」に関係する脳内物質で、この細かい説明は省きますがこのドーパミンが分泌されて脳の報酬系と呼ばれる回路が働くことで「やるぞ!」っていう気持ちになったり、「楽しい!」って感じたりするようになります。
「依存症」と診断されるかどうか
医学的に「依存症」と診断されるには、一定の基準があります。
「毎週パチンコに行ってる」
「ついやめようとしても打ってしまう」
このような状態は、“依存症の傾向”があるとは言えますが、
必ずしも正式な「依存症」ではないかもしれません。
でも、ここで一番大事なのは、「診断されるかどうか」ではなく
『やめたいのに、やめられない』という状態になっているかどうかです。
また依存症が悪化するとそもそもやめたいと思わない場合があります。そういう場合は診断して依存症だと自覚することが重要になります。
【理由②】依存症では目的が変わる?

依存症では感じ方がどう変化するのか?
依存症になると、脳の中では「快楽」の感じ方そのものが変わってきます。
最初は「楽しいからやる」だったのが、
次第に「やらないと不快になる」へと変化していきます。
するとどうなるか──
- やってないとイライラする
- 他のことでは満足できない
- もっと強い刺激を求める
こうして、快感を得る“しきい値”がどんどん上がっていく。
その結果、依存はさらに強く、深くなっていくんです。
目的が不快から逃れるために快感を求めるようになる
依存症の人は、もう「楽しいからやる」わけではないんです。
それよりも
「今の不快な状態から逃れるため」にギャンブルを求めるようになっている。
不快な状況になると、脳は「この不快をどうにかしたい」と考えて、
βエンドルフィンという脳内物質を出そうとします。
【理由③】依存度が高い脳内麻薬と脳の変化とは?

βエンドルフィンの恐ろしい力
このエンドルフィン、すごいんです。
- 痛みやストレスを和らげる
- 安堵感や安心感を与える
- 多幸感(最高に気持ちいい)を感じさせる
そして、それに刺激されて、ドーパミンも一気に大量に分泌されます。
このときのドーパミン量は、ふだんの10〜20倍にもなるとされていて、
その快感はモルヒネという麻薬に近い作用をもたらすと言われているほど。
つまり、脳がこの快感を求めて“もっと!もっと!”と止まらなくなってしまうんですね。
ギャンブルで起こる快感の最大化
エンドルフィンは、いわゆる「ランナーズハイ」でも分泌されることが知られています。
そして実は、ギャンブルのときにもこれが出ています。
たとえば
- 「5万円つぎ込んで、やっと大当たりが来た!」
- 「1000Gハマって単発!イライラしてたときに、突然のフリーズ演出!」
こんなとき、感じるのは単なる「やったー!」じゃない。
「助かった…!」という安心感や、強烈な解放感。
この“総合的な快感”こそが、脳にとって最高の報酬となり、
結果として、依存症の回路がどんどん強化されていくんです。
依存症でさらに起こる脳の変化
最近の研究では、ギャンブルを続けるうちに、衝動を抑えるブレーキが効きにくくなり、どんどん刺激を求めてリスクの高い選択をとるようになることが分かってきています。
そして気づけば、生活の中での価値観が“ギャンブル最優先”に変わっていく。
これは、脳の神経回路そのものが変化してしまうことが原因だと考えられています。
【まとめ】「やめたいのに、やめられない」が依存症のサイン

ということで、「依存と依存症はちがうの?」のポイントをまとめると
- 脳内では、ドーパミンとエンドルフィンの連携で、快感が最大化される
- 「依存」は、意思でやめられるもの
- 「依存症」は、不快を避けるために脳が快楽を異常に求めてしまう状態
- ギャンブル依存症は、ギャンブルが「不快を避けるための快楽」として脳に刷り込まれている
だから、やめようとしても本能的に「目的が不快を避けること」になる。それが最重要事項のためギャンブルをやめられない。
「やめたいのに、やめられない」と感じたときは、それが脳のSOSサインかもしれません。
次にやるといいこと
そのサインに気付いたら次にやることは依存症の傾向が高いと自覚して、やめるために我慢ではなく、「我慢に頼らない」行動をすることです。
我慢に頼るということは、自分で止められると思っているということ、つまりまだ依存症の傾向が高いという自覚が足りないということです。
ギャンブルをやめるためには我慢に頼らない行動をすることは、遠回りに見えて近道ですので一歩一歩進んで行きましょう!
次回
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「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
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参考・出典
- 厚生労働省,ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633402.pdf - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html - 小林俊輔. (2022). 報酬系とドパミン. 神経心理学, 38(1), 28-35.
https://doi.org/10.20584/neuropsychology.17137 - 楠奥繁則. (2004). 職場におけるストレス・マネジメントの探究. 立命館経営学, 42(6), 115-133.
https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/record/694/files/be42_6kusuoku.pdf - 枝川義邦, & 渡邉丈夫. (2010). 行動・学習・疾患の神経基盤とドパミンの役割 (Doctoral dissertation, Waseda University).
https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/27235/files/KotoKenkyujoKiyo_2_Edagawa.pdf - 筒井健一郎, & 渡邊正孝. (2008). 報酬の脳内表現. 生理心理学と精神生理学, 26(1), 5-16.
https://doi.org/10.5674/jjppp1983.26.5