行きたくなってしまうのは「ブレーキ」が弱すぎるのかも
「もうやらない」と思っていたのに、 なぜか気づけばホールに向かっていた──。
それは“やめよう”と決めた気持ちが弱いのではなく感情が一瞬で暴走する脳の反応にまだブレーキがついていないからかもしれません。
この記事ではそんな「衝動の暴走」を止めるための“ブレーキを強める方法”を解説します。
- 衝動のブレーキが効かない理由
- 行きたくなるのを止める方法30選+α
- 効果的な止める方法
STEP確認
この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP6-1」です。
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【結論】ブレーキは予め準備しておく
ギャンブルをやりたいと思った時に準備を始めていても間に合いません。なぜならその時点ですでに冷静さを失っているからです。
準備は冷静に判断できる平常時に行っておきます。そうすることでブレーキをかける時は「こうすればよい」と考える必要なく、実行するだけで済むようになります。
基本的にはまず「体を止める」、次に「思考を止める」、次に「ブレーキを強化」、最後に「アクションに繋げる」という流れになります。
- ①:物理的に“ワンクッション” → 体を止める
- ②:思考を“遮断”する → 思考を止める
- ③:人やモノに“つながる” → ブレーキ強化
- ④:ユニークなブレーキ → アクション(別のことに集中)
- ⑤:ルールを設ける → アクション(別のことに集中)
何か1つではなく、流れが組めるように複数個パターンを用意しておくことが効果的です。
【理由】ブレーキが弱まっている

私たちの「意思決定」や「感情制御」をしている脳のブレーキは疲労やストレスに弱く、またギャンブル依存症になると変化して機能が低下する可能性があると研究で分かっています。
その結果
- 「感情を抑える制御力」
- 「今、やるべきことをやる集中力」
- 「やりたくないことを区別する判断力」
といった理性が必要な力が弱まってしまいます。
これが「やめたいと思っているのに、やってしまう」行動に繋がり、ギャンブルがやめられない要因になります。
詳しい記事は下記をご覧ください
ブレーキを効かせる為に
ポイントはまず衝動が来た時に無意識で行きたくなっていると、自分が気付いて認識するところです。
自覚して少しでも別の事に集中する、客観的に自分を見つめることでブレーキの効きが良くなります。
ここからはブレーキを効かせる為のコツをいくつか紹介します。
自分に合ったものをいくつか用意して、衝動が来たときには瞬時に実行できるように予め用意しておくと効果的です。
【実施①】物理的に“ワンクッション”置く
衝動が来た瞬間に、物理的に「止まる動き」を入れると、感情が落ち着きやすくなります。
- 深呼吸を3〜5回ゆっくり行う
- その場に座り直し、姿勢を正す
- 目を閉じて10秒カウントする
- 冷たい水を一杯飲む
- 両手をぎゅっと握って5秒、ゆるめるを数回繰り返す
他にもこんな方法があります!【クリックで展開】
- 顔を洗う、手を洗うなど水に触れる
- 軽くジャンプしたりストレッチをする
- 足裏で床を感じる/足を少し動かして「今ここ」を意識する
- ハンカチやリングを握って指を動かす
- ガムを食べる
- 靴のヒモを結び直す(立ち止まる癖)
【実施②】思考を“遮断”するワードや習慣
感情が暴走し始めた時、自分の思考の流れを「一時停止」できる仕掛けを用意します。
- 「これは衝動だ」と自分に言い聞かせる
- 「やる/やらない」ではなく自分を「観察」してみる
- 「今、本当に自分が必要としているものは何?」と問いかける
- 「この行動のあと、自分はどう感じる?」と未来を想像する
- 「この気持ちに点数をつけるなら何点?」と感情を数字化する
他にもこんな方法があります!【クリックで展開】
- 「なぜ今これをしたいのか?」と3回問い直す
- 紙に思考を殴り書きして、頭の中を出す
- 「今、自分は疲れているだけかも?」と確認する
- 「この衝動が収まったこと、過去にもあった?」と過去の成功を思い出す
- 「欲求」と「必要」を区別して考える(例:欲しい vs 必要)
【実施③】人やモノに“つながる”
衝動は“ひとり”の時に強くなります。だからこそ、誰かや何かとつながることで、暴走を減らすことができます。
- 大切な人を悲しませたくない
- この習慣をやめたら、〇〇さんとの時間が増える
- あの人が応援してくれてるから、応えたい
- この行動は自分だけじゃなく、周りに伝染する
- 未来の自分や家族に胸を張れるようにしたい
- 支えてくれた人の時間や気持ちを無駄にしたくない
- これを我慢できたら、あの人に自信を持って会える
- 似たような苦しみを抱える人の希望になりたい
- 今日やらなければ“記録”が続く
- いま耐えることが、誰かと繋がる自信につながる
- 誰かと一緒に散歩に出る・誘ってもらう
- 友人・家族と「今何してる?」と軽く雑談を始める
- オンラインで誰かと作業通話(黙々作業でもOK)
- 一緒に何かを作る(料理・DIY・絵など)相手を見つける
- 「散歩仲間」「週1活動仲間」など緩いつながりを作っておく
他にもこんな方法があります!【クリックで展開】
- ボードゲームや軽い運動(バドミントン、キャッチボールなど)を誰かとやる
- 誰かと一緒にごはんを作って一緒に食べる
- 味の話をするだけの“推し語り友達”をつくる
- 一緒に黙って音楽を聴く、映画を見るなど“静かな共有”をする
- 軽い挨拶や近況を送る“つながりリスト”を持ち、1日1人連絡してみる
ひとりでもできる方法
- 通りすがりの人に軽く会釈・挨拶する(目を合わせるだけでもOK)
- X(旧Twitter)やYouTubeで「同じテーマに関心がある人」の発信を読む・聴く
- オンラインで作業BGM配信(作業用ルーム)を流す
- 人が集まる場所(カフェ・図書館・公園・街中)に行って、空気を感じる
- SNSやアプリで「公開型」の場に匿名で参加する
- ポッドキャストや朗読配信を聴いて、声のぬくもりを感じる
- ネットの掲示板やコメント欄で「いいね」や感謝を伝える
- 「誰かのために祈る」または「感謝の気持ちを頭の中で伝える」
繋がりは自分が感じられればそれだけで良いです。
【実施④】別のことに一旦“集中”する
別の事に集中することで衝動を忘れることができます。手軽に始めれるものを用意しておきましょう。
- テトリス
- スイカゲーム
- slither.io(ミミズゲーム)
- 脳トレーニングゲーム
- ※上記などの短時間で集中できるゲーム限定
他にもこんな方法があります!【クリックで展開】
- 手を使う作業:折り紙・スクラッチ・描き殴り・パズルなど
- 外に出て散歩(5分だけでもOK)
- お茶・コーヒー・白湯などを丁寧にいれる/飲む
- スマホで用意した短い動画・音声を再生する(お気に入りリスト作成推奨)
- ペットやぬいぐるみに話しかける/なでる
- 手を洗う・洗面所で顔を整えるなど、ルーティン動作
- 筋トレ(スクワット10回など)やヨガポーズを一つとる
- 漫画や小説を1ページだけ読む
- アロマを嗅ぐ、香りのするスプレーを使う

機械にも“異常処置マニュアル”があります。
脳にも暴走しそうなタイミングには、「パチン!」と止めるスイッチを先につけておくこと。
衝動が来てから「どうしよう」ではなく、仕掛けは平常時につけておくことが大切です。
【実施⑤】代替行動をやるという“ルールを設ける”
ギャンブルに行くために〇〇をやってからとルールを設けることで、○○をやっている間に行きたい気持ちが落ち着くことがあります。
- 筋トレを1時間してから行く
- 公園を1周回ってから行く
- 映画を1本見てから行く
そしてルールを守るためにもまずは一旦止まるブレーキが必要になってきます。
この方法は○○の部分を習慣にする効果もあります。代替行動と呼ばれるギャンブルの代わりに行う行動です。
詳しくはSTEP5-3【衝動をハッキング!】パチンコ・スロットをやめる「代替行動ルール作戦」で脱出を目指すで解説をしています。
【実施⑥】“パターン”を作って仕組みにする
これらブレーキをその場その場で選んで実施ではなく、事前に自分用ブレーキのパターンを準備しておきましょう。
そうすることで考える必要が減り、行動がしやすくなります。
今回のブレーキは基本的にはまず「体を止める」、次に「思考を止める」、次に「ブレーキを強化」、最後に「アクションに繋げる」という流れになります。
- ①:物理的に“ワンクッション” → 体を止める
- ②:思考を“遮断”する → 思考を止める
- ③:人やモノに“つながる” → ブレーキ強化
- ④:ユニークなブレーキ → アクション(別のことに集中)
- ⑤:ルールを設ける → アクション(別のことに集中)
その為1つではなく、流れが組めるように複数個パターンを用意しておくことが効果的です。
この一連の流れを組むことがブレーキの全体的な強化に繋がります。
【結論】ルールを決めて守る練習をしよう


ギャンブルをやめるためにはギャンブルをやりたくなった時にどうしようと考えるのではなく、平常時に行う事前準備が重要です。
そしていきなりやめるのではなく、まずは自分で決めたこと、ルールを守ることがブレーキを強化することになります。
そのためにもまずは一旦停止。ブレーキをかける練習から初めていきましょう。完全停止ではなく、一旦停止。
そのあとに進む道を自分で選ぶ練習になります。
【まとめ】
ポイント
- 感情的な脳は、別の事に意識を集中することで、冷静な脳に戻すことが出来る
- 意思ではなく「行動を止める仕掛け」が必要
- 衝動のパターンを知り、“あらかじめ用意”しておくのがコツ
このSTEPで得られること
- 衝動を「物理的に止める方法」が身につく
- 感情の暴走を「思考遮断」でリセットできるようになる
- 「誰か・何かとつながる仕組み」で孤立を防げる
次回
次は、ギャンブルをしながらやめる準備ができる、パチンコ・スロットをやめるための「刺激を弱める」工夫25選を解説します。
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「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
でも今は、そう感じていたのは“思考の回路”が乱れていただけだったんだと気づきました。
このサイト「ゆるやめ」では機械保全士として培った現実重視の“視点”をベースに、脳科学や心理学の知識そして私自身の体験を交えて、我慢ではなく緩やかな仕組みでやめるヒントをお届けしています。
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参考・出典
- 厚生労働省,依存症についてもっと知りたい方へ,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html