みなさんこんにちは。
みなさんは
「パチンコやスロットをやめたいのに、ついまた行ってしまう」
そんな経験がおありですか?
その理由は、“根性”や“我慢”に頼っているからかもしれません。
今回の記事では、なぜ我慢ではやめられないのか?
そして、ならどうしていけばいいのか?
脳の仕組みや実践的な行動とあわせて、分かりやすく解説していきますのでぜひご覧ください。
【関連動画】
【結論】我慢でやめられるのは依存まで

まず結論ですが、我慢でやめられるのは依存までとなります。
たとえば、スマホをつい触りすぎてしまう。
甘いものを食べすぎてしまう。
こうした“ちょっとした依存”なら、
「やめよう」と思えばある程度コントロールできる人も多いかもしれません。
でも──
パチンコやスロットのように、強烈な刺激と快楽を伴うものは話が別です。
これは単なる「依存」ではなく、
脳の仕組みによって行動がコントロールされてしまう“依存症”に近い状態へと進んでいく危険があります。
そして依存症の傾向が強まると、意識では「我慢しよう」と思っていても脳が本能的にギャンブルを求めてしまう。そのため、我慢してもストレスを溜め込みやすくなり、そのストレスを解消するためにさらにギャンブルを求めてしまう悪循環が生まれてしまう。
この時ただの楽しい刺激を求める依存とは違う「別の目的」が依存症に近づくことで生まれており、それがより本能的にギャンブルを求める原動力となっています。
つまり我慢でやめようとしてやめれない時点で、すでに依存症に近い状態になっている可能性が高くなっているということです。
もしご自身がそうであれば、やるべきことはギャンブルをやめる我慢という行動ではなく、依存症かもしれないと認め、我慢に頼らない脳の仕組みを改善する行動をすることが、ギャンブルをやめるために遠回りに見えて実は近道だったりします。
【理由①】なぜギャンブルはやめられない?

次に簡単に脳の仕組みや依存の流れについて解説していきます。
繰り返しのギャンブルで強化される“快感回路”
ギャンブルを何度も繰り返すことで、脳の中には「強化された回路」ができあがっていきます。
① 期待だけで快感が出る
「次は当たるかも…」
「もう一回やれば取り返せるかも…」
そんな“期待”だけで脳にドーパミンが出て、快感が生まれます。
そしてその快感を「もう一度味わいたい」と、脳が行動を覚えてしまう。
これが依存のはじまりです。
② 予想外のご褒美で脳が強化される
さらに「思ったより出た!」「まさかの当たり!」など、
予想外の報酬があると、ドーパミンが一気に出て記憶に強く残ります。
この“意外な快感”が繰り返されることで、
脳の回路が強化されて、どんどんやめにくくなるんです。
つまり、
ギャンブル依存は「性格」ではなく「脳の学習結果」ということです。
依存と依存症の違い
「依存」は、その対象をつい頼ってしまう状態。
たとえば、スマホを毎日触ってしまうとか、寝る前に甘いものを食べるクセも、広い意味での依存です。
でもこの段階なら、
「やめよう」と思えば、自分の意思でやめられる
軽い工夫や習慣の見直しで、抜け出すことも可能です。
一方で「依存症」は、
脳が“これがないとダメだ”と学習してしまった状態。
最初は「楽しいからやる」だったのが、「勝つまでやる」に代わり
次第に「やらないと不快になる」へと変化していきます。
この時、快感を得る“しきい値”と呼ばれる満足する境界線がどんどん上がっていく。
その結果、依存はさらに強く、深くなっていくんです。
脳は「快楽」よりも「不快からの逃避」を学習する
そしてその不快を打ち消すために、脳はエンドルフィンという脳内物質を求めます。
このエンドルフィンは
- 痛みやストレスを和らげ
- 安堵感や多幸感を生み出し
- ドーパミンを10〜20倍にも増幅させると言われています。
その快感は、モルヒネという麻薬と同じような作用をもたらすレベルとも言われているんです。
そしてギャンブルはこのエンドルフィンが分泌されることが知られています。
すると脳は、こう記憶するようになります。
「辛くなったら、またアレ(パチンコ)でラクになればいいじゃん」
つまり、脳はもう快感を得るためにギャンブルをしているのではなく、
“不快を避けるため”にギャンブルを求めるようになっていくんです。
そして、この「不快から逃げるための行動」は、人間の本能的なもの。
本人の意志より本能の方が強いため、意思だけではなかなか止められません。
衝動にブレーキが効かなくなる
そして、ギャンブルを続けるほどに、衝動を抑える“ブレーキ機能”が弱くなっていくことも分かっています。
- 刺激を求めてどんどんリスクの高い選択をする
- 「今日はやめよう」という判断が通用しなくなる
- 生活の中での価値観が「ギャンブル優先」に書き換えられていく
これはつまり、脳そのものが“我慢できない構造”に変わってしまっているということなんです。
【理由②】なぜギャンブルはハマりやすい?

脳にはもともと「さぼり癖」がある
ここにもうひとつ、厄介な性質があります。
それは、人間の脳にはエネルギーを節約したがる本能=“さぼり癖”があるということです。
脳は本来、こう考えています
- 考えるより、できれば無意識の反応で済ませたい
- 労力より、ラクして報酬を得たい
- ストレス?そんなの今すぐ消したい
こういった「ズルさ」「手っ取り早さ」は、実は生き延びるために身につけた人間の基本機能なんです。
無料やサービスに弱いのが人間の脳
実は私たち人間、もともと「無料」とか「お得」にめちゃくちゃ弱い生き物なんです。
たとえば…
- 飲食店で「大盛り無料!」って書いてあると頼みたくなる
- ドリンクサービスにちょっとテンション上がる
- ポイント貯めて“1回無料”って聞くと通い続けてしまう
- 接客がいいお店はそれだけでまた行きたくなる
こういうの全部、「お得に快楽を得たい」っていう脳のクセなんですよね。
ギャンブルは「さぼり癖」にピッタリ合ってしまう
そしてパチンコ・スロットは、
この“さぼり癖”のある脳にとって、都合が良すぎる存在なんです。
- お金を入れれば、すぐ音や光など演出が始まる
- 努力ゼロで、大当たりという報酬が得られるかもしれない
- 一時的にストレスや現実を忘れられる
こんなにラクして快感が得られる行為を、脳が拒否できるはずがないんです。
【理由③】我慢ではなく「改善」でやめれる?

我慢だけでは、脳の本能に勝てない
この状態になってしまうと、
「我慢しよう」という方法では、逆にストレスを溜め込みやすくなり、
脳が本能的に嫌う“不快”を避けるために、またギャンブルを求めてしまう。
つまり──
我慢するほど、脳は反動で求めるようになる。
これが、我慢だけではやめられない最大の理由です。
我慢でやめても、ギャンブルは「やりたいまま」
ギャンブルから距離を置くと、脳の興奮回路は少しずつ弱まっていきます。
ただしこの回復には時間がかかり、完全に元通りになるわけではない──というのが現在の研究結果です。
つまり、「我慢」でギャンブルを断っても、その間ずっと**“やりたい気持ち”は消えないまま**。
やめられたとしても、その苦しさが続けば、いずれ限界がきます。
だからこそ重要なのは、我慢に頼らない方法。
「やめたら楽しい」「やめた方がラク」と思える状態をつくることで、
自然と“やめ続けられる”ようになるのです。
今回紹介する方法は、まさにそのためのもの。
ギャンブルを「我慢で断つ」のではなく、「必要ないと思えるように変える」ための活動です。
解決のカギは「改善」にある
だからこそ、必要なのは“努力”や“根性”ではありません。
本当にやめたいなら、やるべきことはただひとつ。
“我慢”ではなく、“仕組みの改善”をすること。
脳がギャンブルを選ばなくて済むように
- 脳の快感回路を書き換える行動をする
- 代わりに不快を減らせる行動を増やす
- 衝動にブレーキをかけられる環境を整える
こうした現実的な対策をコツコツ積み上げることが、
ギャンブル依存から抜け出す一番の近道になります。
【対策】我慢に頼らないでやめる7つの方法

ここまでお伝えしてきた脳の仕組みや依存の流れを踏まえて、
ここからは我慢に頼らず具体的に何をすればギャンブルから距離を置いていけるのか?
そのための実践的な対策を解説していきます。
①サポートを受ける
可能であれば専門機関に頼ることをオススメします。
ギャンブル依存症から抜け出すことは1人でやらないといけない理由はなく、サポートを受ける方が効果的です。まずは一度誰かに相談してみるという選択肢も立派な“脱出ルート”です。
相談できる公的機関のリンク
以下は、厚生労働省が提供している依存症対策の公式ポータルサイトです。
全国の相談窓口・医療機関の情報も掲載されています。
- 家族の方も相談できます
- 各都道府県の専門窓口や相談機関の一覧あり(外部リンク)
- 匿名での相談も可能(自治体によって対応形式は異なります)
自助グループ
自助グループとは、同じ体験を持つ人が仲間の体験を聴き、自分の体験を語り、互いに支え合うグループです。ギャンブルの自助グループには、例えばGA(ギャンブラーズ・アノニマス)などがあります。
費用は献金のみですが、場所と時間が決まっていますのでスケジュールが合う方は参加してみるのも良いでしょう。
②依存症について正しく理解する
サポートを受けるにせよなんにせよ、まず最初に大切なのが、ギャンブル依存症というものを正しく理解することです。
「やめたいと思えない」「でもやりすぎてるのは分かってる」「やめたいけどやめられない」
そんな状態は、脳と行動の間に“認知のズレ”が起きている証拠。
このズレを修正していくには、まず知ること。
自分の状態を理解し「他の選択肢もありかも」と思えるだけで、
脳の中では少しずつ変化が始まります。
たとえば──
スマホの通知が多すぎて集中できないとき、
「自分って集中力がないな…」と責めることがありますよね。
でも、実は“通知を切っていない”という環境のせいだったりします。
依存症もそれに似ています。
「やめられないのは意志が弱いから」ではなくて、
知らないうちに“脳の通知”が鳴りっぱなしの状態になってるだけ。
その仕組みに気づいて、通知(=衝動)を少しずつ減らすだけで、
自分を責めずにコントロールが取り戻せるようになります。
これは、認知行動療法の基本でもあります。
認知行動療法
ギャンブル依存症の回復に向けて一般的に“認知行動療法”と呼ばれる方法があり、私が紹介する方法はこれを取り入れています。認知行動療法はセルフで行うことができる方法として広く知られています。
また医療機関や自助グループといったサポートでもこの認知行動療法を行っています。
③快楽の“しきい値”を下げていく
ギャンブルがやめられない理由のひとつに、
「必要とする快楽のしきい値(レベル)が高くなりすぎている」という問題があります。
つまり、やらない時の不快感が強すぎて、
普通の楽しみや安らぎでは物足りなくなってしまっている状態。
このしきい値を下げていくには、まずギャンブルと距離をとることが必要です。
ですがこれはギャンブルをしながらでも実は可能だったりします。
たとえば、
- ギャンブル中も、あえて楽しもうとしない
- 意外性=ドーパミン分泌なので低刺激の台を選ぶ
- 勝っても喜ばない、「つまらない」「飽きた」という感覚を大事にする
これを繰り返すことで、脳は
「ギャンブルって、思ったほど楽しくないかも」
と少しずつ学習していきます。
負けが続くと「やめたい」と思えるのも、この学習が起きているから。だから少しでも回数や時間を減らして“距離をとること”がまず先なんです。
④ 環境を整える
ギャンブルを思い出すきっかけを減らすこと。
これも大きな対策のひとつです。
- ギャンブル関連のYouTubeやSNSを見ない
- パチンコ店の近くをなるべく通らない
- 「今日は無理」と思ったら物理的に離れる
意識して我慢ではなく、無意識に考えてしまう環境を整えてギャンブルと紐づけない環境にする。
こうすれば行く頻度は下がり、快楽のしきい値も徐々に下がります。
さらに、脳の“ブレーキ役”であるセロトニンと呼ばれるホルモンの分泌を促すために、
健康的な生活習慣を整えることも大切です。
たとえば
- 朝日を浴びる(セロトニン分泌が促進される)
- バランスの良い食事と睡眠
- 軽い運動や入浴などでリズムを整える
こうした積み重ねが、「不快感を減らせる日常」をつくっていきます。
⑤ 新しい活動を“習慣”にする
ギャンブルをやめるためには、「代わりになる快感を探さなきゃ」と考えがちですが、
実はそれよりも大切なのは、「ギャンブル以外の行動を習慣化すること」です。
最初はギャンブルをやめなくても大丈夫。
並行して、別の活動を始めてみましょう。
たとえば
- ギャンブルに行く前に、散歩や読書など1つだけ別のことをする
- 「ギャンブルをやるには、この行動を先に済ませる」というルールにする
こうすることで、
「ギャンブル=すぐやれる快楽」ではなく、労力を払って手に入れる快楽という形に。
そして「新しい活動をこなすこと=達成感」という回路を、脳が少しずつ覚えていきます。
他にも行動に対して自分で自分に「ご褒美」を用意することも行動する原動力になります。ギャンブルが習慣になっていた「快楽の仕組み」の知識を、今度は新しい活動が習慣になるように仕組みましょう。
趣味について
ちなみに、ギャンブル依存症の傾向が強い場合は快楽のしきい値が上がっていますので、ギャンブルと同等の趣味は中々見つかりません。ですのでそれはギャンブルをやめた後に見つけると考えを切り替え、まずは習慣にすることを目指しましょう。
⑥ 改善サイクルを回す(PDCA)
「完全にやめなきゃ」と思ってプレッシャーになるよりも、ここまで解説してきた方法を使って
「今週は1回減らせた」
「打ちに行っても、短時間で切り上げられた」
「新しい活動が思ったより楽しく、抵抗なくやれるかも」
こうした小さな成果を“前進”として評価することが、継続のカギです。
そのためにおすすめなのが、
PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回していくこと。
- 計画:どう減らすか、もしくは新しい活動を考える。
- 実行:試してみる
- 評価:うまくいったか振り返る
- 改善:次回に向けて調整する
特にポイントになるのは評価で、私たちは行動に対して評価がないと行動の意味を見失いがちです。変化が無いとすぐ飽きてしまうのはそのため。小まめに評価することで見逃しがちな変化を拾いとることができます。
このサイクルを繰り返すことで、少しずつ生活の中のギャンブルの比率が下がっていきます。
⑦「やめてみる」タイミングを自分で選ぶ
ここまで続けて回数や滞在時間を減らしていけば、あるときふと
「今ならやめられるかも」
そんな気持ちになる日が来ます。
そのときこそ、一度「やめてみる」という選択をしてみるタイミングです。
- もし難しければ、また改善サイクルに戻ればOK
- 続けられそうなら、そのまま“卒業”へ向かっていきましょう
そして最終的に、こう受け入れれるようになれば理想です。
「もう、自分にはギャンブルは必要ないな」
そこから先には、あたらしい生き方と、あなた自身の本来の力を取り戻す日々が待っています。
【まとめ】我慢ではなく、「改善」こそがやめるための最善策

ギャンブルをやめたいと思ったとき、
「我慢しよう」「努力しよう」と考えるのが普通かもしれません。
でも私は、“我慢ではなく、改善すること”が最も現実的で効果的な方法だと考えています。
依存は意思の問題ではなく、脳の回路に刻まれた習慣の結果。
だからこそ、戦う相手は“自分の意思”ではなく“仕組み”なんです。
ギャンブルを手放すための改善ステップ
ここまでご紹介してきた対策は、すべて「仕組みを変えるためのアプローチ」です。
- 可能ならサポートを受ける
→ 自分一人ではなく協力を受けることで前に進む力になる - 依存症について正しく理解する
→ 自分の状態を知ることで、意識が変わるきっかけに。 - 快楽のしきい値を下げる
→ 脳が「ギャンブルは必須ではない」と学び始める。 - 環境を整える
→ ギャンブルの誘惑やストレス要因を減らしていく。 - 新しい活動を習慣にする
→ ギャンブル以外の行動を、日常に自然と取り入れる。 - 改善サイクルを回す(PDCA)
→ 完璧を目指さず、少しずつ“前に進めている実感”を育てる。
そして最後に──「やめてみる」選択をする
ギャンブルをやめることは、人生を変えることでもあります。
でもそれは、苦しみながら頑張るという選択だけではない、
「仕組みを見直して、自分を整えていく」ことの積み重ねでも達成できるということを私は伝えたいです。
次にやるといいこと
今回解説した改善ステップはざっくりした内容ですので、次は詳細なやり方を知り実践していきましょう!
次回
この記事は全9ステップでギャンブル依存症から抜け出す方法を解説している記事になります。
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でも今は、そう感じていたのは“思考の回路”が乱れていただけだったんだと気づきました。
このサイト「ゆるやめ」では機械保全士として培った現実重視の“視点”をベースに、脳科学や心理学の知識そして私自身の体験を交えて、我慢ではなく緩やかな仕組みでやめるヒントをお届けしています。
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参考・出典
- 厚生労働省,ギャンブル依存症の理解と相談支援の視点,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/000633402.pdf - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html - 小林俊輔. (2022). 報酬系とドパミン. 神経心理学, 38(1), 28-35.
https://doi.org/10.20584/neuropsychology.17137 - 楠奥繁則. (2004). 職場におけるストレス・マネジメントの探究. 立命館経営学, 42(6), 115-133.
https://ritsumei.repo.nii.ac.jp/record/694/files/be42_6kusuoku.pdf - 枝川義邦, & 渡邉丈夫. (2010). 行動・学習・疾患の神経基盤とドパミンの役割 (Doctoral dissertation, Waseda University).
https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/27235/files/KotoKenkyujoKiyo_2_Edagawa.pdf - 筒井健一郎, & 渡邊正孝. (2008). 報酬の脳内表現. 生理心理学と精神生理学, 26(1), 5-16.
https://doi.org/10.5674/jjppp1983.26.5