行きたくなってしまうのは、「環境」が整っていない
「もうやめたい」「行かないと決めたのに、気づいたら足が向いている」──
そんな経験ありませんか?
脳が“いつもの刺激”に反応して、自動で行きたくなるスイッチが入る環境になっているからかもしれません。
ギャンブルをやりたくなる衝動はギャンブル中だけでなく、日常生活にある外からの関節的な刺激トリガーによっても起こります。
この記事ではギャンブルに「行きたくなる環境」を「行きたくならない環境」に変えて、やめられる環境に整える対策を関節的トリガーに焦点を絞って解説します。
STEP確認
この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP4-2」です。
単独でも読める記事になっていますが全体の流れを確認したい方は下記リンクへお進みください。
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【結論】「行けない仕組み」ではなく「行きたくならない仕組み」を作る
従来のギャンブル対策としてよく聞く、現金を持ち歩かない「行けないように物理的行動の遮断」は有効です。
ですがその効果の多くはギャンブル衝動が起きた後に効く、つまり行きたいけど行けないから我慢となり、我慢頼りになります。
そうではなく、その一歩手前“スイッチを入れないこと”に注目します。
- トリガー:きっかけ(お金、時間、場所など)
- スイッチ:きっかけが重なって入る(スイッチON=ギャンブル衝動)
ポイントは「トリガーを引かせない」ことで、脳のスイッチが入りそうな人・感情・時間といった間接的なトリガーをあらかじめ排除・回避・遮断することで、“そもそも衝動が起きにくい環境”を作ります。
【説明】行きたくなる前に「遮断する」具体策

下記は具体策の例になります。
1. 人間関係トリガー(人がスイッチになる)
人との関わりからスイッチが入る場合、以下の工夫が有効です。
- ギャンブル仲間との距離を一時的に置く
→ 「今ちょっとやめてるんだ」と伝えるだけで、誘いの回数が減ることも - LINEやSNSの通知をオフ/非表示に
→ 勝ち報告が目に入ると、「自分も…」と火がつきやすい - “会うとスイッチが入る人”を見直す
→ 会う頻度や関わり方を一時的に変えるだけでも効果あり
2. 感情トリガー(気分がスイッチになる)
感情の波が強くなると、脳は“手っ取り早い快感”を求めます。
ギャンブルは、その代表格。でも、その代わりになるものは他にもあります。
- ストレスや不安を感じたら「深呼吸+誰かに話す」
→ 感情の逃げ場を“人との対話”にする - 落ち込んだときは「10分散歩」「カフェに行く」など代替行動を決めておく
→ 感情の切り替えスイッチを別ルートにする - 嬉しいことがあったときこそ注意
→ 「今日はいけそう!」という期待が高まる時期は、別のご褒美(美味しいご飯、買い物など)にシフト
3. 時間・状況トリガー(生活の流れがスイッチになる)
日常の中に、無意識の“ギャンブルスイッチ”が埋まっていることも。
- 給料日:お金の仕分けルールを作っておく
→ 「手元に置かない」「生活費をすぐ分ける」などで誘惑を遠ざける - 休日やスキマ時間に予定を入れておく
→ 予定があるだけで、思考の“余白”が埋まり、衝動が湧きにくくなる - 通勤・帰宅ルートを変える
→ ホールの前を通らない道を選ぶことで、視覚刺激(演出音・看板など)を断つ
【補足】トリガーのチェックリストについて
STEP3で気づいた“トリガー”とつながっている
覚えていますか?
STEP3-2|依存衝動の4つのトリガーで紹介したチェックリスト。
その中にあった【人・感情・時間・状況刺激】の項目、実は今回のステップと完全に連動しています。
自分のトリガーを見える化した上でそれを遮断するのが、このステップのポイントになります。すでにチェックリストを実行済みの方は下記一覧を対策参考にしてください。
まだ自分のトリガーを見える化していない場合はぜひ一度チェックリストをやってもらうと、自分でゼロからトリガーを探す手間が省けるかもしれません。
詳しい記事は下記をご覧ください
【実践①】「人]トリガー対策 14選
![「人]トリガー対策 14選](https://yuru-yame.com/wp-content/uploads/2025/04/ChatGPT-Image-2025年5月27日-17_12_16.png)
トリガー | トリガーを引かせない工夫(予防・遮断) |
---|---|
ギャンブル仲間からのLINEや誘いが来ると行きたくなる | ● トーク通知をオフ・非表示にする/必要なら一時的にミュート・ブロックする ● 「返信を翌日にする」ルールを作り、即反応をやめる |
友人や職場の人とギャンブルの話題になった | ● ギャンブル話題が出たら「トイレ・電話」を理由に一時離席する ● 話題を変える「切り替えワード」(例:「最近○○行きました?」)を準備しておく |
SNSで誰かの勝った報告を見る | ● SNSのタイムラインをフィルター設定 or 特定ワードミュートする ● ギャンブル投稿が多い人のフォローを整理 or ミュートする |
ギャンブル好きの知人と会った後にやりたくなる | ● 面会後すぐに「別の予定」(買い物・カフェなど)を入れて意識を切り替える ● その日に予定を詰めず、帰宅後すぐリラックス環境に入る |
職場でギャンブル好きの話を耳にする | ● 意識的に話題から距離を取る(イヤホンで音楽、作業集中モード) ● 自分に「聞き流しルール」を設定(心の中で「今は関係ない」と唱える) |
過去の思い出話や写真を見返してしまった | ● 写真整理タイムを別日に設定(感情が揺れないタイミングで) ● ギャンブル関連アルバムやデータを非表示・別フォルダ隔離 |
他人からギャンブル歴を話題にされたとき | ● 軽く笑って流す or「もうやめたからね」とポジティブに返すセリフを用意 ● 話題をすぐ別方向へずらす小ネタを持っておく |
【実践②】「感情」トリガー対策 20選
トリガー | トリガーを引かせない工夫(予防・遮断) |
---|---|
ストレスで発散したくなる | ● 小さな安心行動(深呼吸・温かい飲み物)をすぐ取る ● ストレス日記(イライラを5行だけ書き出す)を習慣化する |
退屈・やることがないとき | ● 事前に「退屈リスト」(気晴らし行動メモ)を作っておく ● すぐできる趣味(動画鑑賞・散歩など)に切り替える |
孤独を感じるとき | ● 1日1回、誰かとLINEや通話するルーティンを入れる ● カフェ・図書館・ジムなど軽い人の気配がある場所に出る |
落ち込んだとき気を紛らわせたくなる | ●「元気が出るリスト」(好きな音楽・動画・写真)を保存しておく ● 温かい飲み物・シャワーなどの“物理リセット”行動を取る |
嬉しいことがあったとき浮かれる | ● 成功したら「自分にご褒美ルール」(例:本・スイーツ)を別に用意 ● 「今日は浮かれ注意日」と手帳にメモする習慣を作る |
不安や将来に焦るとき | ● 不安な気持ちを書き出して「今やれる行動」をひとつ決める ● 未来妄想ではなく「今この1時間」を生きる意識 |
報われなかったとき取り返したくなる | ● 「勝ち負け思考に乗らない」自己暗示ワード(例:「今日も前進」)を決めておく ● 悔しい気持ちは運動や掃除で発散する |
頭が疲れているとき刺激を求める | ●「疲れてる時=判断しない」とルール化 ● 眠る・甘いものを少し取るなど脳のリカバリーを最優先する |
自分を責めてヤケになるとき | ● 自己否定が出たら「書き出して可視化」して冷静に眺める ● ネガティブになったら誰かに短文LINEを送る(孤立を防ぐ) |
他人と比べて落ち込むとき | ● SNSや比較を遮断する「オフ時間」を設ける ● 過去の自分と今の自分を比べる「自己比較表」を作る |
【実践③】「時間・状況」トリガー対策 18選
トリガー | トリガーを引かせない工夫(予防・遮断) |
---|---|
給料日・ボーナス直後 | ● 振り込まれたらすぐ自動振分け設定(貯金・生活費口座へ分散) ● ご褒美用に「使っていい金額」を別途設定 |
平日休み・予定のない休日 | ● 前日までに「簡単な予定」(掃除・外出・映画鑑賞)を一つ決めておく ● 「ノープラン=危険」と自覚しておく |
お金に余裕があるとき | ● 財布の中身を見直して持ち歩く現金を絞る ● 使わない口座に即移動する習慣をつける |
帰宅ルートの途中 | ● 帰宅ルートを固定&別経路登録して意識的に迂回 ● 退勤後にすぐ寄れるコンビニ・スーパーなど「安全地帯」を決めておく |
家に帰る前に寄り道したくなる | ● 家の近くのカフェ・書店など「代替寄り道スポット」を用意しておく ● 「家に直行ルール」を決めて、意識して実行する |
長時間移動中にスマホで検索する | ● 移動中は音楽・オーディオブックを聴く習慣に切り替える ● スマホのホーム画面を整理して誘惑アプリを隠す |
季節イベントや特別な気分のとき | ● 事前に「イベント予定」(旅行・友人との予定)を組み込む ● GWや年末年始は「特別気分注意日」と手帳に書く |
夜更かしして眠気があるとき | ● 夜はスマホ禁止 or 充電器を別室に置く ● 寝る前のルーティン(読書・ストレッチ・入浴)を固定化する |
月末や月初の金銭の節目 | ● 収支確認は1日だけ、その他の日は見ないと決める ● 金銭チェックの後はリラックス行動(コーヒー・散歩)をセットにする |

安全装置は点検項目に沿ってメンテナンスを行ってその機能を十分に果たす必要があります。何をするべきかのリストはその為に必要不可欠。
【結論】これは「自分を縛る」ためではなく「自分を守る」ため
このステップでやっているのは、衝動が起きる“前段階”の条件を変えることです。
つまり、「やりたい気持ちが出てから戦う」のではなく“その気持ちを起こさせない”工夫。
これは我慢や根性に頼らない自分を守るための方法です。



機械のトラブルも、「壊れた瞬間」に対処するのではなく、その前に何が起きていたかを見て対策するのが整備の基本です。



衝動が出る前に「スイッチが入る流れ」を見つけて、先手を打つことが一番の安全策!
補足説明
💡環境・物理的刺激との関係、日常のタイミングがトリガーになっている場合は、
STEP 4-1【行きたくならない環境を作る】“物理的トリガー排除” で詳しく解説しています。
【まとめ】
ポイント
- 衝動は突然起きるように見えて、実は“きっかけ”がある
- そのきっかけ(=トリガー)を生活から1つずつ減らすことが、脱出の一歩
- 無理に我慢するのではなく、「流れに乗らない環境」をつくろう
このステップで得られること
- 「気づいたら動いてた…」を防ぐ“前フリ”に気づける
- 衝動が出にくい生活スタイルに変わっていく
- 「やめたくなる流れ」を“遮断する仕組み”ができる
次回
次は、日々の生活で起こるストレスというトリガーを整えていきます。
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「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
でも今は、そう感じていたのは“思考の仕組み”が乱れていただけだったんだと気づきました。
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参考・出典
- 厚生労働省,依存症についてもっと知りたい方へ,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html