【やりたくなる強さの源】パチンコ・スロットをやめたくないと思ってしまうのは快感が目的ではなかった!?

やりたくなる強さの源

パチンコ・スロットをやめたいのに「どうしても行きたくなる」

「もうやめよう」と思っていたのに──
どうしてもギャンブルをやりたくなるギャンブル衝動が抑えられない

そんなギャンブル衝動は実は楽しさを求めているだけではないことを知っていましたか?

この記事では、ギャンブルをやめたいのにやめたくないと心のどこかで思ってしまう脳の本能と“ギャンブル衝動の強さ”の仕組みを解説します。

この記事で分かること
  • ギャンブルをやめたくないとどこかで思ってしまう理由
  • ギャンブルをやりたくなる衝動の強さの秘密
  • ギャンブルをやめる為になる活動

※本記事は筆者の個人的な体験と学習に基づいた内容であり、医学的・専門的助言を提供するものではありません。依存症に関する治療や支援が必要な場合は、専門の医療機関や相談機関に相談することをお勧めします。
詳しい情報やサポートを受けるには、 厚生労働省 依存症対策ポータルサイトをご覧ください。

STEP確認

この記事はギャンブル依存症から抜け出すための「STEP2-5」です。
単独でも読める記事になっていますが全体の流れを確認したい方は下記リンクへ進みください。

シリーズ全体の流れを確認したい方はこちら。

目次

【結論】ギャンブルをやっている時が正常だから

ギャンブル依存症になるとギャンブルをやっている時が、自分にとって自然で安心できる、出たくない安全な領域だと心が思うようになっていきます。

その結果そこから出たくないと思ってしまい、逆にギャンブルをやっていない時に“不快”だと感じるようになっていきます。

つまり現状の不快感を取り除く為にギャンブルをやっているということになります。

ですが現実では金銭・人間関係トラブルなど問題が起こって周囲の人や、ギャンブルをやっていない冷静な時の判断としてはもうやめたいと考えだすわけです。

それでもギャンブルをやらない不快な状態を脳は解消したいと考える為、やらないという「不快」を長期間我慢することは難しいと言えます。

今回の記事ではこの“ギャンブル衝動の強さに繋がる不快”について一つ一つ解説していきます。

【補足】この知識の必要性

ギャンブル依存症は薬や病院に行くだけで治るものではないと言われています。

その理由が結局のところ“本人がやめたいと思わないとやめにくい”からになります。

そのため依存症の治療では認知行動療法と呼ばれる治療が有効とされています。

認知行動療法考えと現実にズレがある状態が“認知のゆがみ”と呼ばれ、それに気づいて修正していく行為が“認知行動療法”です。

今回の記事ではこの認知行動療法の一つとして私が実際にためになったと感じ、ギャンブルに対する思いが変わった知識をみなさんにも知ってもらうことを目的としています。

【理由①】やりたくなるタイミング

やりたくなるタイミング

ギャンブル依存の最初の一歩は、脳の報酬回路(ドーパミン系)が「快感」を強く学習してしまうことです。

そして“快感報酬”の体験をすることで、ギャンブルは快楽が味わえると脳が学習します。

脳が学習した結果、脳が無意識に“期待”するようになります

何かをきっかけに期待した結果、脳がギャンブルをするように指令を出します。

この瞬間に“スイッチが入り”から私たちは無意識にやりたい気持ちになって、行ったら駄目だと思ってようが行ってしまうのです。

つまりギャンブル衝動は「私たちの意志とは関係なく、“報酬が貰えるかもしれない”脳が無意識に予想した時点でドーパミンは分泌されてしまう」このスイッチがONした結果起こります。

ドーパミンについては下記で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方はぜひご覧ください。

目的がズレていく5段階の流れ

今回の解説は下記一覧の段階⑤ギャンブルが目的になっている状態での話になります。

段階状態説明
① 楽しさ・娯楽目的「遊び」としてリフレッシュしている状態景品や演出、社交性を楽しんでいる段階
② 快感重視へシフト当たる快感や刺激を求めるようになる「またあの感覚を味わいたい」になる
③ 勝ちへの執着「今日は勝てるかも」「もっと大勝したい」当たりを追いすぎるようになる
④ 取り返し目的に「負けた分を取り返したい」が主な目的になる快感は薄れ、取り戻すつもりで負ける
⑤ギャンブルが目的にやらないと落ち着かない!!
「やめたいのにやめられない」状態へ
目的がギャンブルをやることになる。

目的がズレていく流れについては下記で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方はぜひご覧ください。

【理由②】ギャンブル衝動の強さ

ギャンブル依存症になってくると、ギャンブル衝動の強さは脳にとっての純粋に快楽という「エサ」を欲するものとは実は少し違います。

快楽を得た状態がニュートラル状態

まず依存症になることで快楽を得る行為では満足できなくなります。

これはギャンブルは快楽を得る行為だったはずが、

快楽を得た状態が通常状態のようになってしまっているからになります。

快感の水準が変わっていく流れについては下記で詳しく解説していますので、まだご覧になっていない方はぜひご覧ください。

普段が不快の状態になる

数値は快楽度と仮にしてイメージは下記になります。

普段が不快の状態になる
  • 【正常:左の絵】普段は0で、楽しいと100になる
  • 【依存症:右の絵】普段が-100で楽しいと0になる

ギャンブルをやっていない時は0ではなくマイナスで、不快感をもっている状態となります。

ギャンブルが習慣になる

ギャンブル依存症が進んでいくとギャンブルをやっていても楽しくないと感じる場合があります。ですがそれでもギャンブルをやりたいと感じる。

これはこのマイナスで不快な状態が普段となりギャンブルをやっている時が普段の正常な状態なのでギャンブルがある生活が当たり前という感じになります。

快楽ではなく、不快の解消が目的

つまりギャンブル依存症の場合はギャンブルをやる理由は快楽を求めているというわけではなく、現状の不快感を取り除く為にギャンブルをやっているということになります。

【我慢できない①】快感は我慢できても不快感は我慢できない

快感は我慢できても不快感は我慢できない

私たちの脳は本能的に「快感を求め、苦痛を避ける」ようにできています。

そして“不快”とは苦痛になります。

実はこの快感を得られないことは我慢できますが、不快な状態を我慢することは困難となります。

その理由を解説していきます。

危険から身を守る

これは生存本能の一つで苦痛といった不快な状態というのは脳にとって恐怖や不安がある状態です。

人は生きる為に行動をする必要があり、そこで力を発揮するのが報酬を求める報酬系回路のドーパミンです。空腹を満たす、美味しいものを食べる、人とつながる。そうした快感をエサにして頑張るエネルギーを生み出す本能です。

その一方で痛みやストレス、不快な出来事からはできるだけ離れようとします。これは「危険から身を守る」ための防衛反応とも言われています。

つまり不快な状態というのは「身を危険にさらしている」ようなもので、食べ物を取るより前に即座に対応するべきことと脳は判断します。

  • 快感は獲物を取るため
  • 不快感は身を守るため

そのためギャンブルをやらないという「不快」を長期間我慢することは難しいと言えます。

流れをまとめると、ギャンブルをやらない不快な状態を脳はすぐに解消したいと考える、そして解消するために快感が欲しい、その快感を得られるものはギャンブルとなります。

【我慢できない②】安全な領域:コンフォートゾーンから出ない

この本能をコンフォートゾーンと呼び、安心感やストレスを感じず過ごせる自分にとって出たくない安全な領域のことになります。

コンフォートゾーン

あらゆる場面でこのコンフォートゾーンは作られています。

たとえば

  • 日本が良い、海外は怖い
  • 住み慣れた実家から出たくない
  • 転職が怖い

このように様々な場面で私たちは安全な領域から出たくないと考えています。

そしてこの共通点は「変化を恐れている」という点です。

メンタルの話かよって思うかもしれませんが、コンフォートゾーン自体は悪いことではなく、自分でも気付かないうちに作っているものなので誰しもあります。

ギャンブルが安全な領域になっている

ギャンブル依存症になってくると、ギャンブルをしていない時は不快でギャンブルをしている時は正常、つまりギャンブルをしている状態がコンフォートゾーンである安全な領域になっている可能性があります。

読者の皆様

いやいや!ギャンブルはお金が無くなってストレスを感じている!

保全士:ひろのぶ

そう思うかもしれません。ですが大当たりしている時や、持ち球、持ちメダルで遊戯台を打っている時、実家のような安心感を感じている人もいるのではないでしょうか?

遊戯中の安心感

ですのである程度の持ち球、持ちメダルを持っているとたとえば

「今日は負けていない」
「先日の負けが返ってきた」
「今日来てこの台を打ってよかった」

などの安心感を得ることが出来ると思います。

そしてこの安心感を得ている状態を維持したいと考えますので、まだ出るかもしれないとズルズルいつまでも打ち続けてしまうことに繋がります。

ギャンブル依存症になってくるとこの安心感を持っているのが正常な状態と脳が判断している可能性があるということです。

【補足】ギャンブルがループする流れ

ギャンブルを遊戯中に働いている脳は感情的な部分が大部分を占めており、理性的な判断はあまり働いていません。

ですので遊戯中はお金が無くなっていくストレスも多少はありますが、それより当たらない時の不快を解消できると期待している快感を得られなかったストレスが多くあるわけです。

そして遊戯後は少し冷静になりお金が無くなったと理性的な判断が働いて自分の行動を後悔してさらにストレスや怒りを感じるようになります。

ですが次の日にはすぐに不快感を解消するために行きたいとまた考えてループしていきます。

【結論】だからギャンブルをやめたくないと思ってしまう

ギャンブル依存症になるとコンフォートゾーンである自分にとって出たくない安全な領域、そこから出たくないと心が思うようになり、逆にギャンブルをやっていない時に“不快”だと感じるようになっていきます。

結果、現状の不快感を取り除く為にギャンブルをやっている状態になります。

ですが問題が起こって(金銭・人間関係トラブルなど)理性的な判断としてはやめたいと考えだします。

ただギャンブルをやらない不快な状態を脳は解消したいと考える為、ギャンブルをやらないという「不快」を長期間我慢することは脳が嫌がります

そのためやめたくないと脳が本能的(感情的)に考えてしまうことは自然の流れであるとも言えます。

【対策】やめるためには「小さな活動からを学習させる」こと

やめるためには「小さな活動から脳を学習させる」こと

「なぜ」が分かれば次に繋がる

なぜかやめたくないと考えてしまう。その「なぜ」を今回の記事で少しでも納得がいってくれれば、また一つギャンブルから抜け出すための学習となります。

たとえば

  • やめたくないのは自分ではなく、本能的に思っているだけ
  • ギャンブルをやっていない時、不快を感じているんだな

このように、だから自分の心はやめたくないと思っているんだな、と理解することでこのコンフォートゾーンから抜け出す次のステップに進むことができます。

様々なコンフォートゾーンから抜け出してきている

ギャンブル依存症から抜け出すと考えると大変だと思えますが、このコンフォートゾーン自体は様々な場面で抜け出してきている経験が皆さんもあるかもしれません。

たとえば内気な幼少期に

  • 学校で挙手して発言してみた
  • 新しい部活動に参加してみた
  • 知らない人に声をかけてみた

このような場面で小さな不安を感じても行動に移すこと。これがコンフォートゾーンを抜け出す活動になります。

ギャンブルを抜け出すことも同じ

勇気をもって自分が安全な領域から抜け出すこと、これがギャンブルをやめるために必要なことになります。

ただいきなり抜け出すことはとても大変ですので、まずは知識をつけるなど、小さな活動から初めて行きましょう。

一つ一つは小さくとも、その活動を通して脳が学習して勇気を育て、不快を減らすことになり、徐々に抜け出して行けるようになります。

ですがそもそもその活動をしないことには学習していきませんので、活動を続けていくこと何よりも大切なことになります。

【まとめ】

ポイント
  • ギャンブルをしている状態が“安心できる普通”になっており、それがコンフォートゾーン化している
  • 脳は本能的に“快感は我慢できても、不快感は我慢できない”という性質を持っている
  • 「自分が弱いせい」ではなく、脳の仕組みとして自然に起こっている現象
  • コンフォートゾーンから抜け出すには、小さな行動や知識習得を通じた“脳の再学習”が効果的

次回

次は「STEP3」自分の依存行動パターンを見える化に進みます。
(パチンコ・スロット依存脱出ガイドに飛びます)

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シリーズ全体の流れを確認したい方はこちら。

このサイトが大切にしていること

「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
でも今は、そう感じていたのは“思考の回路”が乱れていただけだったんだと気づきました。

このサイト「ゆるやめ」では機械保全士として培った現実重視の“視点”をベースに、脳科学や心理学の知識そして私自身の体験を交えて、我慢ではなく緩やかな仕組みでやめるヒントをお届けしています。

よければ他の記事も覗いてみてくださいね。

参考・出典

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