ギャンブルから抜け出すには「認知の修正」が重要
こんにちは、「ゆるやめ」ブログです。
この記事は下記記事の続きとなっております。まだ見ていない方はぜひ前半から見て頂けると、なぜ今回解説するやり方が有効なのかが分かります。
- 【前半】ギャンブル依存症から抜け出すためになぜサポートを受けると良いのか?
- 【前半】ひとりでも抜け出すために必要なこととはなにか?
- 【前半】依存症から抜け出す秘訣、「認知」とはなにか?
- 【後半】「認知」を修正する具体的なやり方を3つ紹介
【関連動画】
【方法紹介】認知の修正が可能な「3つの方法」

ではさっそく、具体的に認知の修正はどうやればいいのかを解説していきます。
認知行動療法の中でひとりでできる方法は、基本的には次の3つの方法があります
- セルフモニタリング
- 7コラム法
- 行動実験
この中で、どれが良いかはみなさんの状況次第で変化します。なぜなら実施難易度は上から順に簡単、手間、難しいとなり、効果は逆に難しいほうが期待できるからです。
方法 | 難易度 | 効果 |
---|---|---|
セルフモニタリング | 優しい | 少 |
7コラム法 | 少し手間 | 中 |
行動実験 | 難しい | 高 |
オススメは上から順番に手を出して、徐々に変えていく方法になります。
ここからひとつずつ詳しく解説していきます。
【やり方】セルフモニタリングの場合

まず一つ目はセルフモニタリングと呼ばれる方法で、これは日常の出来事に対して、その時に感じた感情と、どんな思考だったかを記録して自分のパターンを把握する方法です。
特徴としては、認知の修正をする前段階といった位置づけで、自己理解がメインになります。
難易度は簡単ですが、効果としては低いです。
実施内容としては次の3つです。
- 状況:いつ何をしたか?
- 気分:どのような気分だったか?
- 自動思考:頭に浮かんだことは何か?
これらを自宅に帰った後など落ち着ける環境で振り返ってみて、ノートなど目に見える形として記入します。
例えばこんな流れ:セルフモニタリング
例えば、状況として「友人と給料の話をしていた時」に、気分は「不安な気持ち」になり、その時に自動思考としては「お金を稼ぐ手段としてギャンブルが浮かんだ」などを記録していきます。こうして記録することで、自分がどのような状況で、どのような気分になり、どのような考え方が引き起こされるかを理解できるようになっていきます。
やり方のポイントとしては、頭の中で考えるのではなく、紙やPC上で書き出すことで客観的にとらえることができるようにする点です。
ポイントと体験談


僕がそうだったのですが、最初はどうしてもいちいちノートに書くがめんどくさいと思ってしまいます。ですのでまずはノートに書くという行動に慣れていくことから始めましょう。
コツとしては手間を減らすこと、たとえばノートとペンは机に座ったらすぐ使えるように常に出しておく。スマホの場合ならワンクリックでメモ出来るようにショートカットをホーム画面に作っておくなどが良いでしょう
【やり方】7コラム法(認知再構成法)の場合


二つ目はコラム法と呼ばれる方法です。これは先ほど解説したセルフモニタリングから更に別の見方を探す項目がプラスされた形になります。
特徴としては、自分の考えに対して、多角的な視点で見直すところです。
難易度は少し手間ですが、効果はやや高めです。
実施内容としては次の7つです。
- 状況:いつ何をしたか?
- 気分:どのような気分だったか?
- 自動思考:頭に浮かんだことは何か?
- 根拠:自動思考で、なぜそう考えたのか理由は何か?
- 反証:自動思考とは矛盾する事実を探す
- 適応思考:第三者の視点ではどうだろう?経験を踏まえてどうだろう?と冷静に考える
- 今の気分:気分に変化があるかを確認
これらを先ほどのセルフモニタリングと同様に、自宅に帰った後など落ち着ける環境で振り返ってみて、ノートなど目に見える形として記入します。
補足として、コラム法は3コラム法、5コラム法、7コラム法とあり、違いとしては実施項目が徐々に増えていきます。先ほど解説したモニタリング方法は3コラム法に該当し、今解説したのは7コラム法になります。
またコラムとは新聞や雑誌などの囲み欄といった意味で、状況、気分など項目ごとに区切られた枠の中で考えるためコラム法と呼ばれています。
例えばこんな流れ:7コラム法
たとえば、まず状況、気分、自動思考の3つ目までは先ほどのセルフモニタリングと同様です。状況として「友人と給料の話をしていた時」に気分は「不安な気持ち」になり、その時の自動思考としては「お金を稼ぐ手段としてギャンブルが浮かんだ」などを記録していきます。
そこからさらに、4つ目の根拠として「ギャンブル以外にお金を稼ぐ術がない」などと自分の中にある根拠を書き出します。
そして今書き出した自分の根拠に対して5つ目の反証を探します。反証は現実的に考えてどうなのか、自分の考えの矛盾を探す項目です。今回の場合では本当にそうだろうかと考えることで「ギャンブル以外でも手段はある」「そもそもギャンブルで負けている」「何もしないほうがまし」といった反証が出てきました。
そしてこれらが出そろったら次は6つ目の適応志向を行います。ここでは自分の根拠に対しての反証を繋げて考えてみます。4つ目の根拠として「ギャンブル以外にお金を稼ぐ術がない」、これに対して「しかし」5つ目の反証として「何もしないほうがまし」と文章を繋げて考えてみます。
そうすることで「ギャンブル以外にお金を稼ぐ術がない」しかし「何もしないほうがまし」と現実的に考える流れが出来上がります。
ほかにも
- 第三者だったらどう考えるか
- 今までの経験から別の見方があるか
などといった普段はあまり考えない別の視点から考えることで、こう考える方が現実的だなと新たな考え方を見つけることもできます。
そして最後に7つ目の気分で、ここまで自分の考え方を見直して気分に変化が生まれたかどうか確認をします。これを行う理由としては、変化があればこの考え方の方が良いんだなと、実感できるからです。
それがたとえ少しの変化だったとしても問題ありません。なぜなら私たちの脳はこの少しの変化を繰り返すことで徐々に変わっていくからです。そしてもしこの変化の振り返りをしないと、脳は実感が湧かない、つまりせっかく考えたその考え方に対して価値を感じないので、不要な情報として扱われてしまいます。
ポイントと体験談


ポイントとして、様々な視点で考え方を見直す、そして小さな変化を見つけて脳に新しい考え方のほうが良いとプレゼンをしていきましょう。
まとめとして、7コラム法はこのように自分の考えの根拠に対して、反証を出すことで、より現実的に考え、別の考えのほうが良いと考えなおすことで修正する。それが7コラム法になります。



ちなみに先ほどのセルフモニタリングより項目が多くなっていますので、こちらは慣れてきたらやる。もしくは取り組むものを厳選して行いましょう。僕も最初はめんどくさくてとりあえず後でやれるように状況と気分だけを、ささっとメモするだけでしたので、始めはそれでOKです。そのメモを目の付くところにおいておきましょう。
【やり方3】行動実験の場合


三つ目は行動実験と呼ばれる方法です。行動実験とは不安や恐怖心を抱く場合に、自分の考えが現実的なのかどうか実際に行動してみる方法になります。
特徴としては、自分の考えに対して実際に行動して現実との違いを確認するところです。
難易度は難しいですが、効果は今回解説する中では一番高いです。
内容としては次の7つになります。
- 予想:自分の考えではどうなるか仮説を立てる
- 計画:いつ何をするか具体的に仮説を検証するやり方を考える
- 実験:実際に実行してみる
- 結果:予想通りだったか、どんな気分かなどを検証してみる
- 継続:実験を繰り返し行う
これらを準備して実際に行動してみます。
例えばこんな流れ:行動実験
先ほどまで進めてきた例としては「友人と給料の話をしていた時」気分は「不安な気持ち」になるという話でしたが、これは給与が少なくて「不安だから」稼ぐためにギャンブルをしてしまうという流れでした。
ここから行動実験をしてみましょう。
1つ目の予想として、「給与が少ないからお金を稼ぐ手段をしていないと駄目」と考えました。
これに対して2つ目の計画として「お金を稼がず別のこと、たとえば運動をしてみる」という稼がない行動をすることで検証します。
そして実際に3つ目の実験として、とりあえず運動をしてみる。この時に気付いたことは「運動は稼げないけど気分がいい」、「不安はあるけど少し減った気がする」、「ギャンブルよりお金も減らない」というもの。
ここから分かった4つ目の結果としては、予想の「必ずお金を稼がなくては駄目」ということにはならず、実際には「運動ならお金は増えないけど減りもしないし、不安も少し減る」、というギャンブルと比べて良いと思えた気持ちでした。
ただもちろん不安はあるし、根本的に解決はできていないと考え、また不安が募っていきます。
ここからさらに5つ目の継続で、この行動実験を続けます。そうすることで徐々に「お金は今の給与でも耐えられる」、「そもそもギャンブルでお金は増えるどころか減っている」、「お金を使わない趣味や生活改善をすればいい」、「現実的に増える可能性がある投資に目を向ける」、という新しい考えも生まれてきました。
ここまでくると不安は減少し、より現実的にどうするべきかと考えることが出来るようになってきます。
ポイントと体験談


ポイントとして、行動が一番難易度が高いです。ですのでハードルを下げるためにやることは小さく小さくして、徐々に行うことを心がけましょう。
まとめとして、行動実験はこのように自分の考えを予想して、それが正しかったかを実験して、その差を確認することで体験し、予想と違ったのだと学習することで、考え方を修正する。それが行動実験になります。
脳は体験で学習する
私たちの脳は知識を得るより、行動を通して体験した方が学習しやすいことが分かっています。たとえば様々な分野でアウトプットが大事と、よくネットや書籍でも見聞きしますよね。これは実は実際に行動することで知識だけではなく、脳が行動の結果を学習するからです。そのため知識だけの場合よりも考え方が身に付く。他の言い方で言うと、腑に落ちる、納得する、腹落ちする、といった心の底から納得できる段階になります。
たとえ正しいことであっても
たとえばギャンブルをやらないほうが良いと言われて、それは正しいかもしれないけど、自分の中では腑に落ちていない場合。これはこの体験による脳の学習が足りていないから起こっているかもしれません。ですので人に言われただけだったり、知識だけあっても、それだけでは納得するには足りないということです。
体験談や本でもよい
ちなみに体験談を見聞きすることは、まるで自分のことのようにとらえることができ、疑似体験として脳が学習しますので、体験談でも効果は期待できるとされています。
つまり体験談でも本でも本気で自分事ととらえることで、効果は期待できる。ただそれでも自分自身の行動体験に勝るものはない、といったところでしょう。
やる気が生まれる
また行動学習のメリットとして予想を立てることで人はやる気が生まれてきます。最初は嫌かもしれませんが、やっていくうちに予想に対してどんな結果になるのか脳が学習していき、「もしかしたらこんな良い結果になるかも!」という気になってくるわけですね。
ですので多少嫌なことであっても慣れてくると「これは実験だ!」といった感じで、なんにでもチャレンジする気持ちが自然と生まれてくるようになります。



ちなみに僕が実際に行っていた時は、厳密に計画して行動という感じではなく、始めは軽く自分の考えをメモって、とりあえず少しだけやってみようという気持ちで始めていました。
今回のまとめ
それでは今回の記事のまとめです。
今回はギャンブルをやめるために重要な「認知の修正」について解説しました。前半と後半に分けていますので、もし前半を見ていない方は気になる内容があればぜひ見てみてください。
なぜ認知の修正が重要か?(前半の内容)
前半は認知の修正が重要な理由の解説がメインの内容になっており、まとめとしましては次になります。
- サポートを受けた際に期待できる効果として、「認知の修正・環境の改善・孤独感の軽減・回復へのモチベーションアップ」、といったものがあり認知の修正は治療の軸になっている。
- 実際に認知を修正する認知行動療法は、世界中の治療現場で用いられている。
- 認知行動療法は感情を変化させ、ギャンブルに対する意欲を減少させる効果が期待できる。
- ただやめた場合と比べて意欲を減少させているため、再発防止に期待できる。
- ひとりでも出来る方法として広く知られている。
このような内容になります。
具体的なやり方は?(後半の内容)
次に後半で具体的なやり方の解説がメインの内容となっており、まとめとしましては次になります
方法 | 項目数 | やること | 難易度 | 効果 |
---|---|---|---|---|
セルフモニタリング | 3 | 紙に書く | 簡単 | 少 |
7コラム法 | 7 | 紙に書く | 少し手間 | 中 |
行動実験 | 5 | 行動する | 難しい | 高 |
- セルフモニタリングは、状況、気分、自動思考の3つを行う。特徴としては自己理解メイン。難易度は簡単だけど効果が低い方法です。
- 7コラム法は、状況、気分、自動思考、根拠、反証、適応思考、今の気分の7つを行う。特徴としては多角的な視点で見直す。難易度は少し手間ですが、効果としてはやや高い方法です。
- 行動実験は、予想、計画、実験、結果、継続の5つを行う。特徴としては実際に行動して体験すること。難易度が難しいけど、効果もこの中では一番高い方法です。
まとめとしてましては、このような内容になります。
最後に
今回紹介した方法はすべて、「我慢」や「気合」ではなく、“脳の仕組み”を使って対処する方法です。
こうした我慢がいらない方法を取り入れた、ギャンブルをやめる流れのまとめ記事として、「ゆるやめ9ステップ」を記事にしていますので、よかったら見てくださいね。
それでは今後もこのような記事を投稿していきますので、この記事がいいなと思ったらブックマークしてくれると嬉しいです。
最後までご視聴いただき、本当にありがとうございました。
また次の記事でお会いしましょう。
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「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
でも今は、そう感じていたのは“思考の回路”が乱れていただけだったんだと気づきました。
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参考・出典
- 厚生労働省,依存症についてもっと知りたい方へ,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html