最初のやめるタイミングが一番きつい、そんな依存症をせっかくやめ始めたのにまた手を出してしまった。
もうやめることそのものを諦めてしまおうか。
そんな経験や思いを皆さんもしたことがあるかもしれません。
でも実は依存症から抜け出す時に戻ってしまうことはよくあること。
ですので気にせず進んでいきましょう。
今回はスリップしないための対策と、もしスリップしてしまった後の対処方法についてお話します。
やり方を知っておけば、もうスリップも怖くありません。
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【理由】よくあるスリップの要因と心構え
まずはスリップのよくある要因とそれに対する心構えについて話していきます。
1.スリップは慣れや慢心が原因
まずスリップとはなにかですが、やめ続けることが出来ていたのに、また手を出して依存衝動が再発してしまうことです。
そして「なぜスリップしてしまうのか?」。その多くは慣れや慢心が要因になります。
2.油断大敵
依存衝動が収まってくると「一回くらい大丈夫だろう」と思う油断、慢心が出てきます。
たとえば、友人に誘われて1回くらい付き合いで良いかと行ってしまう。
「今の自分なら大丈夫だろう」という謎の自信で試しに1回やってしまう。
これは、やめられたという成功体験により自分に自信がついている。
そして逆に依存の怖さを忘れてしまっているからです。
だから1回くらいならと甘い誘惑に釣られて負けてしまう。
こうした油断がスリップに繋がります。
3.慣れて習慣が乱れる
人は慣れてくると行動の大切さを忘れていきます。
だからしばらくギャンブルをやめていると、対策の重要性も忘れてしまう。
気が緩み、友人のギャンブル話を聞く機会が増えていたりしませんか?
お店に近づいても平気になったからと意識せず前を通るようになってませんか?
改善をやめてストレスが増えてきていませんか?
こうした“慣れ”がスリップのきっかけ、トリガーを作ってしまいます。
4.脳はたった1回で思い出す
ギャンブル依存症では、脳に「快楽依存の回路」が残っています。
だから1回でもギャンブルをすると、その回路が再び活性化し、快楽を思い出してしまう可能性が高い。
実は依存の回路はギャンブルから離れていても消えるのではなく、弱く細くなるだけ。
一度使い出すと、脳が重要な回路だと思って強く太くなります。
ですので、たった1回だけでも止まらなくなる。
ダイエットで言うと食事の美味しさを思い出してリバウンドするのと同じです
5.自分の防御力はゼロ
これに対する心構えとしてはギャンブルに対する自分の防御力はゼロだということ。
これを忘れないでください。
様々な活動で自分に対して自信が付いていることでしょう。
ですが、ことギャンブルに対する自分だけは信じないでください。
「今の自分なら大丈夫」という意思の力ではなく。
脳の回路が変化しているのが原因ですので、試さなくても負けることは分かります。
ですので心構えとしては、1回も防げない、防御力がゼロだと自覚することになります。
【理由】よくあるスリップの要因と心構えは以上になります。
【対策】スリップを防ぐやり方
ここからはスリップを防ぐための対策について話していきます。
1.常にサイクルを回し続けること
最も重要なのは、ギャンブルから離れた生活を維持し続けることです。
そのためには自分の環境を整えるために、常に予防のサイクルを回し続けることが大切です。
具体的な内容は次になります。
- 新たなトリガーを発見したら、その都度対策を講じる
- 代替行動を取り入れ、小さな快楽や達成感に目を向ける
- スケジュール管理を徹底し、時間の空白を作らない
- ストレスを減らす環境を整える
- 定期的に自己評価を行い、生活の改善点を確認する
これら内容を怠らないためにサイクルを回します。
- やることリストを作る
- リストから選んで実行
- やったことや事実に対して評価する
- 活動に対して良し悪しを考えて次につなげる
内容はSTEP7と同様ですので詳細はそちらをご覧ください。
こうしてサイクルを継続して回すことで、ギャンブルから離れた生活を維持し続けることができます。
2.複数の依存先を支えとする
私たちは日々の生活の中で、実はさまざまなものに少しずつ依存しながら生きています。
だからこそ、これまでギャンブルに偏っていた依存先を分散し、別の楽しみや支えに置き換えることが大切です。
具体的な内容は次になります。
- 甘いお菓子やチョコレート:小さな幸せを感じられる手軽なご褒美
- お笑い番組やゲームなどの娯楽:気持ちを切り替える時間
- 友人・恋人・家族など信頼できる人とのつながり:安心感や支えを得られる存在
こうした複数の依存先を生活に取り入れることで、ギャンブルから離れた生活を維持し続けることができます。
【対策】スリップを防ぐやり方は以上になります。
【対処】スリップした時の対処法
ここからは、スリップした時の対処法についてお話しします。
1. 後悔は最小限に
「なぜまた手を出してしまったんだ…」という後悔は、かえってストレスになり、そのストレスが再びギャンブル衝動を生むことがあります。
ですので、後悔は最小限にし、「今やるべきこと」に集中することが重要です。
あらかじめ行動を想定していれば、スリップしても「大丈夫、想定内だ」と冷静に対応できます。
2. まずは気持ちを整理する
気持ちを立て直すために、次のステップを踏みましょう
- 気持ちを記録する:失敗したときの感情をノートなどに書き出す
- 原因を振り返る:「なぜギャンブルをしてしまったのか」を分析する
- 改善点を考える:「次はどうすれば防げるか」を具体的に整理する
さらに、信頼できる人に話すことも気持ちの整理に役立ちます。
3.STEP7の準備編を思い出す
スリップしてしまったときは、まず生活サイクルを立て直すことが重要です。
これまでの対策をもう一度確認し、今の自分に足りていない部分を見直しましょう。
具体的なやり方はSTEP7と同様ですので詳細はそちらをご覧ください。
4.再びSTEP8に取り掛かる
生活を整えたら、再び「減少&禁止チャレンジ」に取り組みます。
こちらも具体的なやり方はSTEP8と同様ですので詳細はそちらをご覧ください。
スリップしてまたやり始めることは、最初はきついかもしれません。
ですが、前回よりも確実にラクになっています。焦らず少しずつまた進めていきましょう。
【対処】スリップしてしまった場合の流れは以上になります。
まとめ
STEP9、スリップについてのまとめになります。
スリップは回復の過程で多くの人が経験するものです。
大切なのは、スリップを失敗と捉えず、回復の一部として受け止め、行動を止めないこと。
そのためにもあらかじめなぜスリップが起こるのか。
そして対策や対処法を知っておくことで、挫折せず冷静に行動に繋げることができます。
よくあるスリップの要因
- 慣れ・慢心:「1回くらい大丈夫」という油断が再発のきっかけになる
- 習慣の乱れ:対策や生活管理をやめてしまい、トリガーが放置される
- 脳の快楽回路:依存の快楽回路は消えず、1回で再び強化されてしまう
心構え
- 防御力はゼロだと自覚すること
「自分なら大丈夫」という過信は禁物。意思の力ではなく脳の仕組みが関係しているため、そもそも触れない環境作りが重要です。
スリップを防ぐ方法
- サイクルを回し続ける
- 新しいトリガーがあれば都度対策
- 代替行動や小さな快楽を生活に取り入れる
- スケジュール管理・ストレス軽減・自己評価を継続
- 複数の依存先を作る
- 甘いお菓子や趣味、家族や友人との交流など、生活の支えを分散させる
スリップした時の対処法
スリップしてしまった場合は、慌てず冷静に対応することが重要です。
- 後悔は最小限に:「どうして手を出したのか」と責めるのではなく、今できる行動に集中する
- 気持ちを整理する:感情を記録し、原因と改善策を振り返る
- 環境とサイクルを見直す:STEP7で整えた生活サイクルや支えを再確認し、再発防止に役立てる
- 再び挑戦する:整理ができたら、STEP8の「減少&禁止チャレンジ」を再開する
最後に一言
今回の内容を踏まえて行動することで、スリップに負けないで何度でも立ち上がることができます。
そして、挑戦をやめない限り、必ずギャンブルから離れた新しい生活を手に入れられます。
ゆっくり自分のペースで進めていきましょう
備考
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このサイトが大切にしていること
「この世界は、生きづらいものだ」と思っていた過去があります。
でも今は、そう感じていたのは“思考の回路”が乱れていただけだったんだと気づきました。
このサイト「ゆるやめ」では機械保全士として培った現実重視の“視点”をベースに、脳科学や心理学の知識そして私自身の体験を交えて、我慢ではなく緩やかな仕組みでやめるヒントをお届けしています。
よければ他の記事も覗いてみてくださいね。
参考・出典
- 厚生労働省,依存症についてもっと知りたい方へ,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000149274.html - 厚生労働省,依存症対策,2025/4/21
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070789.html